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ドラマ「白い巨塔」から その1 証言の信用性

コラム

2019年5月26日
ドラマ「白い巨塔」から その1 証言の信用性

2019.5.26

 

今日も大阪市天王寺区(大阪上本町・谷町九丁目)の事務所で、交通事故被害者からの受任事務を処理しています。

 

ドラマ「白い巨塔」を毎日、楽しく拝見しています。色々と思うことがあり、今日から数日間、白い巨塔ネタを書いていきたいと思います。

 

まず、PET検査による全身検索を、柳原医師や里見医師が財前教授に進言していたのか否かという事実認定について、これを否定する柳原証人と肯定する里見証人を同時に尋問する「対質」という尋問手法がとられていますが、これは非常に珍しいことです。この2人の証人のいずれかが嘘をついているという状況ですので、この対質という手法は効果的なのですが、この尋問が終わった後、柳原証人の供述が辛うじて維持されたことで、財前教授サイドが大喜びしていたことが印象的でした。

 

もしかしたら、一般の人にとって、尋問では同じ供述を貫徹できればそれで大丈夫(苦しい嘘でも、何とか持ちこたえられれば大丈夫)という感覚があるのかもしれませんが、裁判所はその供述をする証人の態度も見て心証を形成します。あの尋問で、両証人の供述態度をみれば、財前教授の代理人としては「やばいな」と感じるのではないでしょうか。そもそも、虚偽の供述をする動機は、柳原証人には里見証人と比較出来ないほど大きいことが明白な客観的状況です。というより、里見証人が財前教授への嫉妬心だけで、大学における自己の立場を危うくするような偽証をするとは考えにくいですね。

 

結果的に裁判所も、柳原証言の信用性は否定し、里見証人の証言通り、柳原医師や里見医師が財前教授にPET検査実施を進言していたものと認定していました。ちなみに、財前教授サイドはこの判決の結論のみをもって大喜びしていたのですが、この事実認定部分については、少なくとも社会的には財前教授サイドに大きなマイナスとなるはずです。関係する2名の医師が行うであろう検査を、独断で行わなかった、それによって救えた「かもしれない」命があった、という事実のみで医師の社会的生命は終わってしまうことはありますね。

 

ただ、仮に当時PET検査をすれば、肝臓の血管内リンパ腫が判明したのかはまた別の問題です。供述態度やその能力、財前教授との利害関係等に照らして信用性に問題なしと考えられる病理の大河内教授証言によると、血管内リンパ腫の発生時期は、財前教授のドイツ出張との前後も含めて不明ということでしたので、「PET検査をしていれば患者は助かった」(?私も正確には記憶できていません。)という里見証言一本では結果回避可能性を肯定するのは難しく、結論として過失は否定されたのではないか、私はそう考えています。まあ、この辺は、ぼんやりとドラマを見ていたに過ぎない私の誤解もあるかもしれませんが。

 

このような第一審の立場を前提とする限り、PET検査の懈怠のみに依存しない立証構造が求められます。とすれば、腹腔鏡手術中における肝臓表面の異常に関する柳原医師の指摘を財前教授が無視した事実という、カルテから抹消された事実の有無が、勝敗逆転のカギと言えそうです。そしてその証言をするのが、手術室という密室にいた例の看護師さん、というストーリーでしょうね。

 

しかし、この電子カルテの時代に、カルテの改ざんをどう構成すればいいのか、ドラマ制作的には大変苦労されていますね。弁護士的には突っ込みどころが多いのですが、それも楽しみながら拝見しました。

 

 

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