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逆突事故で後遺障害認定、無申告自営業者の休業損害、逸失利益

事件解決実績

2018年10月2日
逆突事故で後遺障害認定、無申告自営業者の休業損害、逸失利益

交通事故賠償実務の世界には、「逆突」という言葉があります。これは、加害車両がバックをして、その後方にある被害車両に衝突することを意味します。

この逆突事案は、賠償実務上、軽く扱われる傾向があります。理由は、①車がバックをする際、スピードをあまり出さないのが普通ですから、軽い事故が多いためです。また、②被害者も加害車両の後退を認識していることが多く、衝突を予見して防御体勢を無意識的にとることができていたと評価されやすいこともその理由です。

したがって、逆突事案では後遺障害の獲得は困難であり、そのため受任拒否の方針をとっている弁護士も少なくないと思います。このお客様も私のところに辿り着くまでに、いくつかの事務所から受任を断られたそうです。正直に言えば、私も忙しい時期なら受任を断っていた可能性があるのですが、その時は何か気の毒な感じがして、何故か受任してしまった、というのが正直なところです。

逆突事案では、保険会社からの治療費支払いが5カ月以内に打ち切りになるのが普通なのですが、本件ではお医者様の好意的な発言もあり、それを私が活用してうまく交渉することができたため、7か月を超える期間の治療費支払いを受けることができました。その甲斐あって、後遺障害14級9号が頚と腰の2部位で認定されました。

その後の示談交渉も、裁判基準通りの慰謝料と、逸失利益でむち打ち14級の場合の上限である5年間分を受け取ることができました。ここまでは私にとっては最低限のノルマなのですが、この事件の本当の難しさは、被害者の方が自営業者で無申告の方であったことにあります。

それでも、3人家族なのでそれなりの生活費はかかるということで、それに見合う収入はあったと主張立証し、これが認められたため、休業損害や逸失利益も相当額認められることになりました。

ちなみに、自営業者の休業損害については上記の収入の立証以外にも難しい問題が多く、本来認められる事案であるにもかかわらず認められないものと誤解して依頼者に説明している弁護士もいます。したがって、やはり交通事故に詳しい弁護士に依頼しないと損をすることもあるのだな、と思っています。

また、示談交渉で迅速に終結できたのは、治療の終了時期、すなわち症状固定の時期について、被害者・加害者間で認定にズレがなかったことによる部分が大きいです。ここでズレると、紛争は長期化します。治療費支払いの打ち切りについて、保険会社を巧く説得するノウハウを持つことが、弁護士にとって非常に重要であるということです。