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大阪地裁における葬儀関係費の扱いについて その1

コラム

2018年10月6日
大阪地裁における葬儀関係費の扱いについて その1

台風の影響でしょうか、今日の上本町・谷町九丁目エリアには生温かい風が吹いています。

さて今日から少し、大阪地裁における葬儀関係費の扱いに関する話をします。このテーマは、大阪弁護士会の交通事故委員会判例分析部会で年に数回議論になります。また、昨日の日弁連交通事故相談センター東京支部との懇談会、更には懇親会においても話題になりました。いずれも、結論が出ることはなく、モヤモヤとしたまま時間の関係で終わりになります。

問題の所在は、大阪地裁の基準を示すいわゆる緑のしおりにおいて、葬儀関係費として150万円と定められ、更に「死亡の事実があれば、葬儀の執行とこれに伴う基準額程度の出費は必要なものと認められるので、特段の立証を要しない。」と記載されている点にあります。にもかかわらず現実には、実際にかかった葬儀代(葬祭費や供養料)で150万円より安い金額が、葬儀関係費として認定されている例が散見されるのです。

大阪地裁の立場について更に探ると、このホームページでお馴染みの、大阪地裁の裁判官らが判例タイムズ社から出している「大阪地裁における交通損害賠償の算定基準」において、「交通事故と相当因果関係を有するものとしては、一般的に必要と考えられる金額をもって損害と認めることにしたものである。ただし、実際に支出した額が基準額を下回る場合は、実際に支出した額をもって損害と認めるのが相当である。」との記載もあります。

要するに、実際に支出した額が訴訟の両当事者の主張立証により明らかになった場合は、150万円以下の認定があるということが示されています。私がずっと気になっているのは、原告(被害者側)が、「どのような経緯で」、「どのような証拠を」出したのか、という点なのです。

(続く)