コラム

2020年12月22日
～大阪の交通事故弁護士～　弁護士の職印の話　その３

２０２０．１２．２２

今日も大阪市天王寺区（大阪上本町・谷町九丁目）の事務所で、交通事故被害者からの受任事務を処理しています。

この紅縞瑪瑙の印鑑は、父親から貰ったものです。父親が中国に行った際、お土産に買ってくれたものです。もらった当時、私は無職の司法浪人でした。当時は、瑪瑙の印鑑というものも珍しかったと思いますし、また世間知らずの私にとって、その印鑑は神秘的な美しさを備えていました。この印鑑は大切にしなければならないものだと、私は思いました。

実印を作る理由が何もない毎日を過ごしていたため、当時の私にとっては最も重要な印鑑であった銀行印として、その紅縞瑪瑙の印鑑は使用され、現在に至っています。素敵な銀行印を持つことになった当時の私には、残念なことにその銀行口座に預けるべきお金はほとんどありませんでしたがね。

この紅縞瑪瑙の印鑑が、いくらだったのか父親に聞いたことはありませんし、これからもないでしょう。ただ、あの頃これを見て美しいと感じた感性は、今も変わりません。象牙には象牙の美しさがあり、また瑪瑙には瑪瑙の美しさがある、世の中には美しいものがたくさんあります。弁護士になり、象牙の印鑑を誂えることができるようになっても、やはり自分はこの紅縞瑪瑙の印鑑を見て美しいと感じられています。そういうところが、自分がまだ堕落をし始めてはいないことの、一つの状況証拠なのかもしれない、そう思っています。