2020.1.18
今日も大阪市天王寺区(大阪上本町・谷町九丁目)の事務所で、交通事故被害者からの受任事務を処理しています。
先に言葉を定義しておきましょう。
事故前から椎間板は突出していたものの、痛みや痺れといった自覚症状を伴わなかったというものを、以下では「無症状性ヘルニア」と言います。
他方、今回の交通事故により椎間板の突出が起こり、かつ症状が出た場合を「外傷性ヘルニア」と呼ぶことにします。これに対しては、色々と抵抗のある臨床医の方もいるでしょうが・・・。私が取り上げた日弁連の研修の「外傷性の傷害」も、ヘルニアについて言えばこの意味だと思います。
例えば、MRI画像で椎間板ヘルニアが確認され、それに整合する痛みや痺れが生じているとします。しかし、椎間板の突出と今回の事故との因果関係は不明であるため、外傷性ヘルニアとは認定されていません。つまり、もともと無症状性ヘルニアがあったところに、今回の事故によりエネルギーがかかり、症状が現れたということになります。このケースを、仮に加重の考え方に従って処理してみると、こうなります。
①昨日の記事に記載したとおり、現存障害の認定に際しては、本件事故との因果関係は問われないので、ヘルニアが外傷性であるか否かによって結論は左右されません。したがって、ヘルニアを12級13号を認定するに足りる他覚所見とする限り(外傷性ヘルニアであれば12級13号を認める立場の前提は、この考え方であると考えられます。)、この場合も現存障害は何かと問われれば12級13号であるということになります。
②既存障害については、事故前からヘルニアがあったものの、痛みや痺れが出ていなかったのですから(無症状性)、14級9号すら該当しないもの、すなわち非該当であったと認定せざるを得ません。無症状性ヘルニア=あくまでも潜在的な障害というイメージです。
③以上より、控除すべき保険金額はなく、12級の保険金額がこの件の後遺障害に関する保険金額となる、ということになります。
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