2019.12.29
今日も大阪市天王寺区(大阪上本町・谷町九丁目)の事務所で、交通事故被害者からの受任事務を処理しています。
私自身がこれまでの経験を通じてたどり着いた、整形外科医又は放射線科医と打ち合わせて目指すべき理想的な所見というのは、
① 椎間板の突出が本件交通事故によるものか否かについては、基本的には不明とする
② ただし、様々な間接事実を指摘し、本件交通事故による椎間板突出である可能性が高いことを指摘する。また、仮に無症状性のヘルニアが既に存在していたとしても、これを無症状のものとしていた微妙なバランスが本件事故によって崩れたのではないか、という指摘をする
③ 痛みや痺れ等については、本件交通事故以前になかったものであるから、本件交通事故によって生じたものであることを確認する
④ 相当期間の治療を経ても症状が固定化したのであるから、今後も固定したままであろうことを、画像も根拠として示す
というところかな、と感じています。
「外傷性のヘルニア」という言葉を用いると、椎間板が本件事故によって突出したとは言えないのではないか、という反論を誘うであろうし、その反論に再反論することは困難であるため、印象が悪いと思っています。まあ、小競り合いで負けたような感じがしてしまいますね。
踏み込んで、本件事故によって椎間板が突出した、と言い切る所見を書いてもらうという手は、自賠責の後遺障害認定に精通した整形外科医によると、「その書面全体の信用性が失われる可能性もある」ということですので、私は避けています。もちろん、そう断言できるだけの十分な根拠があれば別なのですが、初めはそう断言しておいて、紛争が激しくなるとトーンダウンするというのは最悪です(あれは「症状を伴うヘルニアが交通事故によって生じたという意味だったんですが。ちょっと筆が滑ってね。」みたいな流れですね。)。
この辺は、被害者側弁護士が保険会社側弁護士になったつもりで、予め医師に反対尋問をするというプロセスも重要だということです。弁護士ならよくわかる話でしょうが。とにかく、コミュニケーション、特に議論や反論ができない人間は、こういう仕事が全くできないんですね。最後のそのツケを払わされるわけですが。(続く)
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