2019.12.22
今日も大阪市天王寺区(大阪上本町・谷町九丁目)の事務所で、交通事故被害者からの受任事務を処理しています。
昨日の記事に対して、知り合いの弁護士から、
「公」ということを強く考える熊澤氏は、恐らくは、長男が人を殺め、世間に害悪をもたらすような存在になってしまうのなら…と思い詰めて、今回の悲劇に至ってしまったのではと思うものです。
という指摘がありました。
しかし、報道によれば、「弁護人は、検索履歴は『川崎市で児童ら20人が殺傷された事件を受けて長男が同じような事件を起こす場面を想定した』などと主張したが、判決は「被告がそのような場面を想像しなかったと言っている」と否定した。」とされています。
また、事件直後は、長男が川崎市の事件のようなことをするのではないかと思って、みたいな殺害動機で報じられていたと記憶します。とすれば、当初はそのようなストーリーで、犯行動機を説明できると、元次官がとっさに思い付いた可能性はあります。
しかし、その後、元次官が上記供述をしていることからすると、警察や検察の取り調べ、更には裁判の中で、息子が無関係の第三者を大量殺害する恐れがあると考えるに至った心理過程を、客観的事実に基づき説明することが、元次官にはできなかったものと思われます。
家庭内暴力をする人間が、家族に「殺すぞ」という言葉を浴びせることは、珍しい話ではありません。それによって、家族が殺される可能性を考えるべきケースがあり得ることまでは、私も理解できないわけではありません。しかし、大量殺害事件を引き起こすことまで考えるというのは、妄想と言えるでしょう。時としてそういう妄想をすることは誰にもあるとは思いますが、その程度の妄想を根拠に「世の中のために、彼がやらかす前に殺さないといけない」と長男殺害の動機を形成したと実務法曹が認定することは、基本的にはあってはならないと考えます。
頭脳明晰な元次官ですから、やはりこの筋には無理があると気付き、「そのような場面を想像しなかった」と正直に述べたと推測します。上記の検索についての弁護人主張との関係は気になるところですが、犯行の動機としては、本人は殺されると思って突発的に殺した、という主張をしていると各社の報道で共通して報じられています。(続く)
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