2019.12.18
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ようやくですが、磯田道史先生ご紹介の古文書と真山青果先生の「元禄忠臣蔵 仙谷屋敷」との整合性を見て行きましょう。
まず、両者ともに、喧嘩両成敗を無視した公儀の裁きに対する不満が、内蔵助により述べられています。また、内匠頭に吉良の首を切らせる儀式を行ったとする古文書と、「仙谷屋敷」における「唯一無念なのは、全てを捨てる覚悟で吉良を斬りつけた主君の願いが成就されなかったことであり、主君の念を継ぎ届けるためのみに、討ち入った」という大石の申述とも、かなり整合的でしょう。
このようなものを書きながら、手元に「元禄忠臣蔵」の本がないので、あまり自信をもって書けないのですが、私が平成23年師走の顔見世興行で、「仙谷屋敷」を観た際の記憶では、「主の刃が吉良に届かなかったのであれば、その臣である我々が力添えをしてその刃を吉良の首に届けるのは当然のこと」みたいな台詞があったと思うのです。今回発見された古文書は、この私の記憶とも整合的です。主の手をとって、吉良の首を切らせるという儀式ですから。
以上より、今回の古文書発見は、真山青果先生の「説」の正しさを補強するように思われます。もっとも、真山先生は学者ではなく、ゆえに「元禄忠臣蔵」も「説」ではないので、この古文書に基礎をおく説が新説と言えるのでしょう。ただ、一人の優れた芸術家が、本気で調べ物をして作り上げた作品において、自由な洞察を展開した結果が、歴史家たちの文献発見によって裏付けられたとすれば、それはその芸術家の偉大さを証明したことになると言ってよいのでしょう。まあ、要するに、私は真山青果が好きなんでしょうね。(終わり)
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