2019.7.27
今日も大阪市天王寺区(大阪上本町・谷町九丁目)の事務所で、交通事故被害者からの受任事務を処理しています。
7月19日の金曜日、私は東京に出張し、公益財団法人日弁連交通事故相談センターの「交通事故賠償における既存障害の扱い~自賠責における加重障害と損害賠償における素因減額~」という研修を受講して参りました。当分の間、その内容をここで報告することにします。
ちなみに、法律の世界では、「X」という概念と「Xの同一性」や「同一X」という概念がある場合に、後者のうちのXという部分に前者の「X」という概念、その意味することろを、あたかも数学のように代入すると間違える、ということは時々あります。「X」は一義とは限らないということです。
特に、「Xの同一性」や「同一X」という概念は、何らかの範囲を設定・限定する機能を持たされていることが多いのです。法律というのは、自然科学の世界とは異なり、人間社会を巧みに動かすための決め事に過ぎませんので、ある概念に期待される機能から逆算してその意味するところを探り出すという営みが許容されるわけです(この部分は、今回の研修で語られたわけではなく、また何か文献にソースがあるわけでもない、岸正和という弁護士の私見です。なお、読者のうち法律家の方には、刑訴法の「公訴事実」と「公訴事実の同一性」をイメージされることを期待しながら書きました。)。
もっとも、自賠責や労災保険が「同一部位」と言わずに、「同一系列」と言っていたなら、単純な議論で済む話なのですが。ちなみに、労災等は、まず「同一部位」と言っておきながら、その意味については「同一系列」の範囲内とし、解釈論に委ねないという既定の仕方をとっています。
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