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日弁連交通事故相談センターの研修「高次脳機能障害に関する裁判例の動向」 その13

コラム

2019年7月1日
日弁連交通事故相談センターの研修「高次脳機能障害に関する裁判例の動向」 その13

2019.7.1

今日も大阪市天王寺区(大阪上本町・谷町九丁目)の事務所で、交通事故被害者からの受任事務を処理しています。

6月14日、私は東京まで出張し、公益財団法人日弁連交通事故相談センターの「高次脳機能障害に関する裁判例の動向」という研修を受講して参りました。当分の間、その内容を報告することにします。

昨日の、脳萎縮・脳室拡大所見の話の続きです。

今回の講義では、この脳萎縮・脳室拡大が、自賠責報告書において、高次脳機能障害の必須要件として扱われているわけではない、ということも強調されていました。

局所性の脳損傷(脳挫傷)や、びまん性の脳損傷でも軽度であれば、目立った脳萎縮が生じないということもあり得ることが、そのポイントです。30年の自賠責報告書でも、「外傷から3~4週間以上が経過すると、重症例では、脳萎縮が明らかになることがある」と記載されており、脳萎縮を全例での必須要件とまで位置付けているわけではありません。当然、自賠責保険において、明確な脳萎縮が認められないケースでも高次脳機能障害が認定されている例はあり、講師は、このような事例で脳萎縮がないことを主たる理由にして高次脳機能障害を裁判所が否定することに疑問を呈していました。

私も、ほぼ同感ですが、これらはCTやMRIで事故直後に、脳挫傷、血腫、脳内出血などの画像所見が、軽度ではあっても認められる場合の話でしょうね。これらが認められない場合で、脳萎縮・脳室拡大もなければ、脳の器質的損傷の要件をクリアできない、ということになると、私は整理しております。

 

 

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