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日弁連交通事故相談センターの研修「高次脳機能障害に関する裁判例の動向」 その10

コラム

2019年6月28日
日弁連交通事故相談センターの研修「高次脳機能障害に関する裁判例の動向」 その10

2019.6.28

 

今日も大阪市天王寺区(大阪上本町・谷町九丁目)の事務所で、交通事故被害者からの受任事務を処理しています。

 

6月14日、私は東京まで出張し、公益財団法人日弁連交通事故相談センターの「高次脳機能障害に関する裁判例の動向」という研修を受講して参りました。当分の間、その内容を報告することにします。

 

一般の方にとってはかなり難解な話になってしまっていると思いますので、少しだけ補足します。敢えて荒っぽく説明しますが、その方がわかったつもりになれると思います。

 

交通事故賠償実務でいう高次脳機能障害とは、器質性の精神障害です。ここでいう「器質性」とは、脳に傷が認められるという意味です。この脳の傷の有無をとらえることができるのが、CTやMRIの画像です。

 

これに対して、PETやSPECTの画像は、脳の傷の有無をとらえることはできません。では何をとらえられるのかと言いますと、脳のある部分が働いているのか、機能しているのか、です。脳に傷があれば、通常その部分の機能は喪失又は低下するでしょう。ですから、PETやSPECTで脳機能の喪失又は低下の所見があれば、脳に傷がある「可能性」は認められるでしょう。

 

しかし、脳の機能が悪くなる原因は、脳の傷ばかりではありません。例えばうつ病など、脳に傷がなくても脳機能は悪化します。ですから、PETやSPECTの画像所見のみでは、脳の傷があることを証明し切ることは難しいということになります。

 

 

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