コラム

2019年5月28日
ドラマ「白い巨塔」から　その３　カルテ

２０１９．５．２８

今日も大阪市天王寺区（大阪上本町・谷町九丁目）の事務所で、交通事故被害者からの受任事務を処理しています。

ドラマ「白い巨塔」についてのお話を続けます。一昨日、カルテについて突っ込みどころが多いなどと述べました。フジテレビ版「白い巨塔」では、訴え提起の前に関口弁護士が証拠保全手続きを利用して、カルテの謄写をしていたと記憶しています。通常、医療訴訟においてはこのような流れとなります。

今回放送のように、訴訟が開始されてから尋問が始まるまで、カルテが完成・提出されていない訴訟というのは想定しにくいのです。カルテがなければ、争点の整理・確定すらできません。

また、カルテの記載内容が信用されるのは、医療行為が行われてからさほど時間が経たない時点において、まだ紛争が発生していない状況で機械的に記載されるからです。今回放送のように、裁判が始まってから記載された内容については、裁判官が自由に心証を形成する上では、もはやカルテとして扱われない可能性すらあります。ちなみに、電子カルテでは、いつ、誰が、当該部分を記録したのかがわかるようになっています。

ドラマに真面目に突っ込んでどうするんだ、という突っ込みを受けそうですが、念のために記載しました。