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被害者請求と事前認定に関するご質問への回答 その1

コラム

2019年1月18日
被害者請求と事前認定に関するご質問への回答 その1

2019.1.18

今日も大阪市天王寺区(大阪上本町・谷町九丁目)の事務所で、交通事故被害者からの受任事務を処理しています。

交通事故の当事者ではないのですが、興味を持つ方から以下のようなご質問をお受けしました。同じような疑問を持つ方が少なくないでしょうから、それぞれについての回答をここに記載します。

質問1 自賠責保険への請求手続きについて

自賠責保険へ保険金を請求するにあたって

①事前認定

②被害者請求

の2つの方法があるかと存じますが、

①それぞれ選ぶ割合

②どのような場合に被害者請求を採用するか

について教えて下さい。

回答

原則として被害者請求を行います。

例外として事前認定を行ったケースは、昨年1年間で2件だけです。その2件は、後遺障害認定の可能性が非常に低い事案及び前任の弁護士が事前認定の手続きを選択して手続き進行中に解任されて私が受任したという事案でした。

私としては、後遺障害が認められるか否か、また認められる等級によって損害賠償の額が大きく変わる以上、その損害賠償を支払う立場にある任意保険会社に手続きをほぼ一任する①事前認定をとるというのは、例えるなら債務者に債務の額を決めてもらっているのに近い面があるため、基本的には避けるべきであると考えています。これは紛争の当事者やその代理人であれば、本能的に感じることだと思います。②の被害者請求であれば、被害者が自ら資料を収集して自賠責保険に提出するので、手間はかかりますが、安心感はあります。

また、弁護士という専門家の本能としては、何らかの制度・手続きを利用するにあたって、判断機関に提出する資料を取捨選択できるポジションを死守すべきと考えるのは当然です。任意保険会社が調査事務所に何を提出して何を提出していないのか、全くわからないまま結果を待つのが①事前認定なので、基本的には利用したくないと考える弁護士が多いはずですが、実態は違うかもしれません。実際には、①事前認定もかなり利用されているようです。

なお、例外的に事前認定でも構わないケースとしては、①後遺障害の結論が見え見えの場合(片腕が失われたケースなど)や、②判決をとって遅延損害金を多くすることを依頼者が望む場合などが考えられます。しかしこのような場合であっても、こちらの過失割合が高い場合であれば、自賠責保険からとれる限りの金額をとっておくということ、すなわち被害者請求をすることも考えられなければなりません。

(その2に続く)

 

 

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