コラム

2019年1月8日
大阪弁護士会による専門性の「値付け」　その２

２０１９．１．８

今日も大阪市天王寺区（大阪上本町・谷町九丁目）の事務所で、交通事故被害者からの受任事務を処理しています。

昨日の大阪弁護士会による「○○専門弁護士」認定の件ですが、やはり要求する経験数が僅か３件というところに批判が集中していますね。特にネットの世界において、弁護士による批判が多いです。

昨日も書いたとおりですが、「専門」という言葉が世間で独り歩きをしないよう、大阪弁護士会には、どういう基準で「専門弁護士」を認定しているのかについて一般消費者に周知させる責任があると、私は考えています。具体的には、大阪弁護士会のホームページ等で「専門弁護士」という言葉を用いる際、その直後に必ず「（経験が３件しかない弁護士が含まれています）」と記載する程度の慎重な措置が、消費者被害防止という観点からは要求されるのかもしれません。

また、上述のように内輪の弁護士からでさえ批判が強いこの基準の合理性について、大阪弁護士会が説明する必要があることも昨日指摘した通りです。弁護士が高度の専門職として社会から信頼されてきたにもかかわらず、ある分野（ちなみに、かなり抽象的で広めに設定されています）において専門性を獲得するのに必要な経験件数はたった３件で足りるということを、大阪弁護士会は根拠を示しつつ論じなければなりません。このような論証に大阪弁護士会が成功すればするほど、大阪弁護士会のみならず全ての弁護士が世間からの信頼を失う可能性があると考えますが、もう今となっては仕方がないでしょう。

なお、この基準の合理性の論証にあたり、若手弁護士の受任機会を奪わないため、という事情は用いられてはならないことは当然です。もしそれを世間に対して言ってしまえば、大阪弁護士会が、内輪の理屈で一般市民・消費者を犠牲にしようとしたということを、自白したことになりかねません。

何かをやろうとして問題点が見つかった際、そこでやめる勇気、引き返す勇気というものの尊さを想う２日間でした。