コラム

2019年1月7日
大阪弁護士会による専門性の「値付け」

２０１９．１．７

今日も大阪市天王寺区（大阪上本町・谷町九丁目）の事務所で、交通事故被害者からの受任事務を処理しています。

大阪弁護士会では、ある分野の事件を３件経験し、そして研修を受けるだけで「○○専門弁護士」を名乗らせてくれるそうです。恐らく、今後多くの弁護士会公認の「交通事故専門弁護士」が大阪で多数誕生するのでしょう。「交通事故専門弁護士」のハイパーインフレ現象が見られるかもしれません。

少なくとも大阪弁護士会には「交通事故専門弁護士」というものがどういう基準で公認されたものであるかを、世間に広く知らしめる責任があると思います。また、３件経験して身につく専門性が一体どの程度のものなのかというものについて、世間に理解していただくために、真剣に説明する必要もあるでしょう。一般的な職業において、「３回経験したら、あなたも専門家です」ということはならない、と考えるのが常識的です。「弁護士の」専門性というのは、「一般的な職業の」専門性とは違って、僅かな経験で身につくものに過ぎないということを、世間に理解してもらうためには、かなり努力をしなければならないのではないでしょうか？

結局大阪弁護士会は、弁護士の専門性を「その分野での経験３件と研修受講」という水準に、「自ら」値付けしてしまったわけです。これは、単に「専門性の」大安売りに留まるものではなく、「大阪弁護士会、ひいては弁護士の信用の」大安売りに繋がることはないのか、朝のＮＨＫニュースで新制度について誇らしげに語る大阪弁護士会の会長さんを見てしまったときに、危惧せざるを得ませんでした。