2024.7.13
今日も大阪市天王寺区(大阪上本町・谷町九丁目)の事務所で、交通事故被害者からの受任事務を処理しています。
今年の1月6日、「むち打ち症以外の原因による局部の神経症状と労働能力喪失期間」と題する投稿を行いました。
https://the-law-office.jp/blog/1926/
この記事後半において、「基本的に、期間制限を行うのは、いわゆるむち打ち症等以外の場合においては、例外的なものであるという認識をベースに、慎重に検討されるべきではないかと、特に12級13号が認定される場合については考えています。」と書きましたが、今回は、14級9号の事案でありながら、また相対の交渉のみにより、労働能力喪失期間を18年間(平均余命の2分の1)とする内容での解決ができました。
鎖骨及び肩甲骨の骨折で鎖骨について手術を行った事案であるため、期間制限については、個人的には抵抗が大きかったです。他方、症状固定後の減収もなく、給与取得者としての小売店の店員という職業上、将来的な減収の蓋然性というものも、例えば大工さん等と比較すると弱いものとなるでしょう。
1枚限りの強いカードである、受傷内容の強さだけでどれだけ押し切れるのか、という事案でした。
1月投稿の引用記事の終盤に、「被害者側の弁護士の多くがそう思えば、裁判例の傾向もそうなっていき、その結果更にそのような思い込みが強化されることになるというのが、現実でしょう。リアリズムの悲しいところではあります。」と書きました。しかし、請求側の弁護士が賠償のルールを正確に読み、尊重して、曲げずに活用することにより、相手や裁判官を説得することが、結果を大きく変えることはあります。
1月投稿の引用記事を読まれて、「やはり、むち打ち以外で期間制限というのは、賠償基準の文理とは違うよね。」と思われた弁護士の方に、この解決内容を知っていただきたく、投稿することにした次第です。