2020.1.14
今日も大阪市天王寺区(大阪上本町・谷町九丁目)の事務所で、交通事故被害者からの受任事務を処理しています。
「天才を殺す凡人」の感想を昨日書いたついでに、これもまた最近読んだ北方謙三さんの「チンギス紀」第5~6巻の感想も書いておきましょう。
まあ、チンギス・ハーン(テムジン)の前半生というのは、文字がほとんど普及していない草原の中の話なので、謎に包まれています。このような人間については、作家の自由度が大きい。その血筋や生い立ちについて創作の余地が大いにあるという意味で、テムジンは作家にとって魅力的な素材でありましょう。
この本でも、北方さんがやりたい放題です。玄翁という草原最強の敵がなぜかテムジンを狙い続けていたのですが、これは読者の多くが気付いていたであろうように、テムジンの実父でした。昔からよくある、男は父親を殺さなければならないというプロットですね。玄翁は、執拗にテムジンの前に立ちはだかり続けました。玄翁はテムジンを息子であると知っているが、テムジンは知らない、知らないままに父親を倒す、というストーリーです。
更に、北方さんはこの玄翁と「水滸伝」の楊令を結びつけてしまいます。正直、このあたりは、北方さんは「水滸伝」がどんだけ好きやねん、と思いましたね。あるいは、お前ら「水滸伝」も読めよ、という凄まじい営業精神も。
そんな笑い話もあるのですが、テムジンという若者は第4巻までと同じく、非常に思慮深く、戦略的な思考ができる人物として描かれています。馬や鉄などの戦略物資の生産能力を高め続け、また兵站、ロジスティクスにも力を入れるという点も変わりません。後の飛躍的な成長の基礎を、じっくりと焦らずに構築しています。まるで、現代の優秀な創業経営者を見ているように感じます(もっとも今は資本市場からの調達の関係で、背伸びしまくっている人が増えていますが。)。
この点は、史実である後のチンギス・ハーンの大躍進から出発すると、説得力を感じます。若い時、無名時代に蓄えた実力があって初めて、大躍進期が訪れるわけです。伸びるために縮む、その気になれば今できるからと言って安易に勢力拡大を志向しないという、戦略的思想が若い無名時代のテムジンにあったことは、容易に想像できることであります。
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