2019.9.30
今日も大阪市天王寺区(大阪上本町・谷町九丁目)の事務所で、交通事故被害者からの受任事務を処理しています。
なお、最高裁は前述の「a,b,c,d(ここでのdは「その他諸般の事情」です。)に照らし、AかつBである場合、Xに当たる」という規範を定立するずっと前から、一般論としては甲と乙という2要素からXに当たるかを判断するという立場をとっていました。つまり、Xに当たるか否かを判断するにあたり、一般的には甲及び乙の2元で審査するとしていたわけです。その後、Xに当たるかがしばしば問題となる一類型を抽出し、最高裁はある時期、上記規範を定立するに至ったわけです。
もっとも、この甲乙二元論は多様な具体的事案に対応するために内容を失いつつあり、最高裁が上記の規範を定立した際にも抽象化・規範化していると評価されています。
今回問題となっている最高裁判例は、αを評価する部分に甲という判断要素にも結び付くような一節をしっかりと入れており、これまでと同様に抽象化・規範化された二元論に一応の基礎を置き続けていることを示そうとしているな、と私には感じられました。
仮に今回の判例への批判の中心がこの二元論の抽象化・規範化にあるのであれば、それは別に今始まったことではないと指摘する必要があるでしょう。また、二元論を頑なに守ることにより現実に不都合が生じるからこそ、二元論は自分自身を抽象化・規範化することにより辛うじて生き延びてきたのだという歴史をどう考えるのか、という疑問・反論が出てくると思います。更に、この類型の事案については、既に最高裁は規範を定立しているわけです。
議論をした弁護士らも、硬い二元論の復古を唱えるというわけではなさそうであり、短い時間では具体的に最高裁判決の何を批判しようとしているのかがわからなかったのですが・・・。あまり見かけないαという事情一本で結論が出されてしまったように映ることに、人は不満を持ちやすいということなのでしょうか。
このシリーズは以上です。
(諸事情により記号を用いた抽象的な論証となりましたことをお許しください。)
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