2019.9.29
今日も大阪市天王寺区(大阪上本町・谷町九丁目)の事務所で、交通事故被害者からの受任事務を処理しています。
仮に、最高裁が「a,b,c,d(ここでのdは「その他諸般の事情」です。)に照らし、AかつBである場合、Xに当たる」という規範を定立したとします。その事案においては、aに当たる事情の評価が非常に弱いものであるため、最高裁はbとcに当たる事情を重く評価して総合することにより、AかつBでありXに当たるという結論をとりました。
近年、上の事件と類似する別の事件について、最高裁で判断されました。その事案は、bとcに当たる事情の評価は非常に弱いものであったため、最高裁は(私の認識では)aに当たる事情を深く掘り下げて考察し、αという非常に重く評価されるいわば決定的な事情を抽出したうえで、これを決め手としてAかつBでありXに当たるという結論を導きました。
この思考に関して、αという一事情のみで結論を導くのがおかしいという批判をする弁護士らと議論をしたことが、最近ありました。
正直、その弁護士が何をおかしいと感じているのかが私には不明なのです。おそらくαというものが突然便宜的に創出されたものではなく(a~dを無視していきなり「αだから」と最高裁が言い出したのであれば、話は全く別です。)、従来の最高裁が提示したaを深く掘り下げて抽出されたものである、という認識については共有されているようです。だとすると、事案によって判断要素のアクセント付けが異なることは、諸事情を総合判断するタイプの規範においては当たり前のことですから、今回の最高裁判決は、先の最高裁判例の判断枠組みの範囲内で、事案に応じた判断を示したに過ぎない、と私は考えます。
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