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ドラマ「白い巨塔」から その2 戦略面

コラム

2019年5月27日
ドラマ「白い巨塔」から その2 戦略面

2019.5.27

 

今日も大阪市天王寺区(大阪上本町・谷町九丁目)の事務所で、交通事故被害者からの受任事務を処理しています。

 

ドラマ「白い巨塔」が終わりましたね。財前教授の短すぎる栄光の時代、そこからの一瞬の転落そして死というストーリーは、いつ見ても哀しすぎます。この財前という哀しい男を演じられる俳優は限られているのだなあと、今回のドラマを見て強く思いました。

 

他方、里見医師の絶対的な「善」も凄い。人間離れした菩薩様ですね。このような医師が増えて欲しいと願わざるを得ません。

 

さて、昨日ここに記載した「腹腔鏡手術中における肝臓表面の異常に関する柳原医師の指摘を財前教授が無視した事実」は、予想していた看護師の尋問ではなく柳原医師の尋問で法廷にあらわれていましたね。考えてみれば、亀山看護師は入院病棟の看護師であって、手術室にはいなかったでしょうから、上記事実は彼女には知り得ないものだったのでしょう。

 

財前教授がPET検査を進言されていたがこれに従わなかったという亀山証人が証言する事実は、昨日もここに記載した通り一審判決ですでに認定済みです(この事実関係が、ドラマ制作にあたって綺麗に抜け落ちてしまっているのではないかと、個人的には感じました。)。そのような前提に立っても一審では医学的な理由で過失が認定されなかったのであるから、亀山証言が出てしまっても財前教授側はそれほど焦る必要がなく(もちろん、マイナスであることは否めませんが)、仮にPET検査をしていても結果が変わらなかった可能性が高いことを絶対的防衛対象として、医学的な鑑定等の顕出に力を集中する戦略をとるべきだったと思います。

 

細かなことを言えば、ネットで見直してみれば、一審判決はPET検査の進言について、柳原証言を退けて里見証言を採用しているものの、里見医師が財前教授にPET検査を進言した事実を認定した部分しかドラマでは読み上げられておらず、柳原医師による進言については認定していなかった可能性が否めないのですが、裁判所は里見証言の信用性を非常に高く評価しているので、そのような認定は不自然ではないかと思います。

 

そういう点はさておき、様々なストレスで心身ともに追い込まれていた財前教授は、亀山証言を受けて大いに動揺し、責任を柳原医師に押し付けて切り抜けるという最悪の選択をしてしまいます。これが法廷における柳原医師の不規則発言に繋がり、原告・控訴人側の柳原医師証人申請に繋がります。証人申請に対して財前教授サイドが苦しい意見を述べていましたが、裁判所としては事案の真相を解明できる奇跡のような瞬間ですので(もちろん、現実にはほとんどないことです。)、当然、尋問を行うことになります。

 

あの柳原証言を受けてもまだ、財前教授サイドの弁護士が結論は変わらない、勝てるということを財前教授に話していたシーンがありましたが、まあそれはないなあと私は感じました。

 

 

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