2019.5.21
今日も大阪市天王寺区(大阪上本町・谷町九丁目)の事務所で、交通事故被害者からの受任事務を処理しています。
昨日まで紹介した内容で、女子年少者の逸失利益算定における基礎収入についての影山裁判官講演はほぼ終了です。繰り返しますが、より詳しい内容は赤い本2018年版下巻7頁以下をご参照願います。
個人的には、死亡の場合と異なり、生活費控除率を利用しての男女格差是正という手段がとれない後遺障害事案において、いかにして格差の是正をはかるべきなのかという点に関心があります。具体的には、高校生で大学進学の蓋然性が認められる場合に、男女を合わせた全大卒労働者平均賃金を用いる裁判例が気になりました。このあたりは問題が結構複雑で、賃金の額的に、男性大卒平均>全(男女)大卒平均>全労働者平均>女子大卒平均賃金という現状は強調しておきます。要するに、大学進学の蓋然性を認める心証を形成した裁判官が、女子大卒平均賃金を用いてしまうと、全労働者の平均賃金を用いて男女格差是正を図る一般的な立場から後退することになるわけです。
自由な心証形成を通して、どのような場合に全(男女)大卒平均賃金を用いるべきなのか、裁判官としては難しい判断となることでしょう。
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