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交通事故損害賠償の「損害」とは?

2019年3月1日
54 H31.3.1 交通事故損害賠償の「損害」とは その54

2019.3.1

今日も大阪市天王寺区(大阪上本町・谷町九丁目)の事務所で、交通事故被害者からの受任事務を処理しています。

しばらくの間、番外編的な内容を掲載します。

大阪地裁のいわゆる裁判基準を示した緑のしおりには、入通院慰謝料算定の基礎となる通院期間に関して、「通院が長期にわたり、かつ、不規則な場合は、実際の通院期間(始期と終期の間の日数)と実通院日数を3.5倍した日数を比較して、少ないほうの日数を基礎として通院期間を計算する。」という記載があります。

この通院が「長期にわたり、かつ、不規則な場合」の意味について、かなりの弁護士、というより大阪の弁護士が誤解している可能性が高い、という認識を、大阪の弁護士の一部と裁判官は共有しているようです。

大阪地裁の裁判官が執筆した「大阪地裁における交通損害賠償の算定基準」には、「『通院が長期にわたり、かつ、不規則な場合』に該当するか否かの判断は、評価の問題であるので、必ずしも常に実通院日数の3.5倍の基準が採用されるわけではない。」と記載されています。実際に大阪地裁交通部の裁判官と話をすると、裁判官はこの基準の適用範囲をかなり限定的にとらえていることがわかります。

にもかかわらず、ごく一部の例外を除いて基本的には、通院期間日数と実通院日数の3.5倍のより短い日数をもって、慰謝料算定の基礎となる通院期間として扱う、という理解(この立場では「長期かつ不規則」という要件の意味が、実質的にはほとんどないものとされていると考えられます。私は、この立場を「裸の3.5倍基準説」と呼んでいます。)が、大阪の弁護士と話しているとしばしば感じられるのです。

私は、この誤解の原因は数年前に大阪弁護士会で行われた研修にあるのではないか、と疑っています。

(続く)

 

 

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