コラム

2019年2月28日
弁護士会と裁判所との懇談会について思うこと

２０１９．２．２８

今日も大阪市天王寺区（大阪上本町・谷町九丁目）の事務所で、交通事故被害者からの受任事務を処理しています。

昨日のように、弁護士会と裁判所との間で懇談会を開催することは多いのですが、その際、事前に質問や回答が練り上げられていくわけです。今回の裁判官との懇談会で私が感じたのは、裁判官は理論的な面からの意見を強く期待している、ということです。同じ意見であっても、「東京と違うのは不公平だと思います」とか「被害者保護に欠けるのではないでしょうか」みたいな、一般的・抽象的な理由を添えて述べる（このような意見には、「思考」という「コスト」が費やされていません。）よりも、やはり制度の趣旨を、判例学説の歴史を踏まえつつ論証するなどして、かかる制度趣旨から考えるとやはりおかしいのではないか、という問題提起については、大いに歓迎されるのだな、と感じました。権威ある文献で根拠が確認できたか否か、はあまり重視されておらず、むしろあまり聞いたことはないけれども、なるほどそうだね、と感じさせる意見の方が、裁判官の食いつきも良いと感じました。

他方、去年も一昨年もした質問が、今年も単純に繰り返される、というのは、やはり避けた方がいいでしょう。もちろん、特別の事情があればそれも正当化されるのでしょうが、せめて切り口を変えるなどの工夫はすべきでしょう。

まして裁判所がとっているとは思えない不当な立場を、裁判所がとっているとして批判するのは、裁判所から見れば不快でしょうし（謝罪を求められても仕方ありません。）、何より弁護士という職業に対する漠然とした不安感を裁判所に与えてしまっているのかもしれません。