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~大阪の交通事故弁護士~ むち打ち症以外の原因による局部の神経症状と労働能力喪失期間

コラム

2024年1月6日
~大阪の交通事故弁護士~ むち打ち症以外の原因による局部の神経症状と労働能力喪失期間

2024.1.6

 

今日も大阪市天王寺区(大阪上本町・谷町九丁目)の事務所で、交通事故被害者からの受任事務を処理しています。

 

もしかすると最近の弁護士の多数意見なのかもしれませんが、いわゆるむち打ち症以外の原因による局部の神経症状と労働能力喪失期間についても、むち打ち症等におけるそれと同様、12級13号ならば10年間、14級9号ならば5年間という限定を受けることが原則であると考えていると思しき弁護士を見かけることが少なくないです。弁護士会の公式行事においても、そのような前提の発表を聞かされることが、昨年は少なくとも2回ありました。2回目の行事においては、その点を修正する意見を述べたかったのですが、時間切れのために発言できませんでした(行事終了後、発表者に個人的に疑問を伝えましたが。)。

 

この問題については、いわゆる赤い本の2007年版下巻75頁以下に詳細な解説があります。令和4年12月に第1刷が発行された、注解交通損害賠償算定基準189頁以下でも取り上げられています。後者によれば、期間制限をするか否かの判断を分ける要点について、「はっきりと言える状態ではない。」と、率直に述べられています。それくらい、難しい問題ではあります。

 

ただ、基本的に、期間制限を行うのは、いわゆるむち打ち症等以外の場合においては、例外的なものであるという認識をベースに、慎重に検討されるべきではないかと、特に12級13号が認定される場合については考えています。

 

他方、14級9号については、「他覚所見のある傷害後の他覚所見を立証できない神経症状という後遺障害」というものについて、もしかするとこの弁護士は具体的なイメージがついてきていないのかもしれないと思われる経験もあり、原則期間制限説が拡大するのを押さえ込むのが困難な状況になっているように思います。被害者側の弁護士の多くがそう思えば、裁判例の傾向もそうなっていき、その結果更にそのような思い込みが強化されることになるというのが、現実でしょう。

 

リアリズムの悲しいところではあります。